ファイン系とデザイン系、作品との取り組み方の違い☆ファイン系
美大には『ファイン系』と『デザイン系』があり、娘はファイン系の油絵を目指している。
私は社会系の大学専攻出身なので、美術のことはさっぱりわからない。
少しでも親子のみぞを埋めるために、娘と2人でいる時、できるだけ美術の話題を出すようにしている。
『ファイン系』と『デザイン系』の違いは、美術をしない私にとってはよくわからないので、その作品への取り組み方について娘に聞いてみた。
「私は自分の中にある世界観を表現する方法として油絵を選んでいるの。自分の作品にすごくプライドを持って描いている。世界観をうまく表現して、作品を見た人が文句を言えない状態、つまり黙らせないといけないと思っている。」
いきなり何を言っているのかわからない。
よくあることなのだが^^;これは、詳しく聞いてみなければいけない。
作品として自分の世界観を相手に見せて、納得させなければいけないってことかと聞いてみると、納得はさせなくてもいいという。
「うぅん。納得させなくてもいいの。油絵って感覚に訴えて『コレ、理解できないけどスゴイ。』って思わせないといけないの。
作品を見て『こんな世界あり得ないし、理解できないんだけど、スゴイ。スゴクて何も言えない。』って思わせて、黙らせないといけないの。何も文句が言えない状態にしないといけないの。」
納得させなくてもいいけど、文句言えない状態にしないといけない…の意味が解らず、続けて話を聞いてみる。
「たとえばゴッホの糸杉のやつとか。うねうね描いていて、パッと見まるで子供のいたずら描きみたいにみえたりもするじゃん。写真とかで見ると。
でも、実物を直接みると、絶対黙っちゃうと思うの。どんな人でも、美術に興味とかなかった人でも。
あの絵ってすごい青がきれいで、それに呼応するように反対色の黄色がとっても鮮やかに、しかも混ざらないで入っているから。」
実物見たことないのに、どうしてそんなことわかるのかとちゃちゃを入れる。と、呆れたように私を見る。
「画集とか見ればわかるよ。インターネットとかで見るよりも、画集の方がずっとキレイにしっかり見られる。しかも、アップにして細かいところまでちゃんと画集には載ってるから。わかるよ。
…だから、いつか本物を見に行きたいよ。たぶん本物は、スゴイよ。前に立ったら何も言えなくなっちゃう。」
と、娘は興奮気味で続ける。
実際のゴッホの『星月夜』が見る人を黙らせるかどうかは別として、娘がその絵に心酔しているのはわかる。
「っていう状況に自分の作品を見た人に感じさせなきゃいけないから、ファイン系は自分の作品にすごくプライドを持たないといけないの。」
ファイン系っていうと、絵画と、彫刻と、写真…そのくらいかな?と聞くと
「うん。大雑把に分けると、絵画と彫刻と写真だと思う。絵画って日本画と油絵だけじゃなく版画とかも絵画に入るし、オーストラリアのアボリジニーが壁に描いている作品とかも入るんじゃないかな。一口に絵画っていっても、すごく広いんだよ。
書道も入ると思う。日本画って絵と書と、同じ紙に一緒に書いたりもするでしょ?文字と絵が同じ紙の上で同居してるって西洋絵画にはないの。もともとは中国のやり方かもしれないけど、日本のそういうのは独自の発展を遂げているから。日本画とか浮世絵とかね。」
ファイン系は、作品を見る相手を強く意識して制作していく面がある。だからこそ自分の作品をとても大事にするという。
自分の作品に対して一枚一枚、真剣に向き合っているのがファイン系なのだ。
では、デザイン系はどうなのだろうか?
長くなってしまったので、デザイン系の取り組み方については明日書くことにする。