絵の具の買い替え

絵の具を変えていくらしい。
「このまま描き続けていくのなら、もっと良い絵の具を使った方がいいよ。」
とムサビのK教授に勧められたそうだ。

娘が今メインで使っているのはクサカベの油絵の具。
油絵の具は油と顔料から作られている絵の具だ。
通常は油絵の具をオイルで溶いてキャンバスに絵を描いていく。
オイルを混ぜることで定着を良くし、ひび割れなどを起こりにくくする効果がある。
オイルの種類によっては絵の具が乾くのを遅くしたり、またかえって早くしたりする効果や、劣化による黄変を防ぐ効果があるものなどがある。
だが、娘はオイルを使わず絵の具だけで絵を描く。
この描き方に変わったのは浪人生の時だ。
夏前頃だったか?
現役の受験時にはオイルを持って会場に出かけて行った記憶がある。

娘が使っているクサカベは、その名の通り国内のメーカー。
創業1928年(昭和3年)の老舗。
『よい絵の具を作る』という創業者の意向を引き継ぎ、選りすぐった材料を使用して商品を作っているメーカーさんだ。
高品質でリーズナブルな価格帯なので、油絵初心者や趣味で描いている人に好まれやすい。

油絵の具は、というか絵の具というものは、材料が人工物か自然物かで値段が変わる。
たとえば、セルリアンブルーという色がある。『わずかに緑みを帯びた鮮やかな青(濃い空色)』だが、原料は錫酸コバルトだ。
この絵の具を作る時、ざっくり言えば、これを多く含めば値段が高く、少ないと安くなる。
ただ単純に割合を少なくしてしまうと色が薄くなったり、淡くなったりしてしまうので、人工物で似たような色を混ぜて作り出す。
人工的にセルリアンブルーを作り出したもの、これがセルリアンブルーヒューだ。
人工物で色を作り出すことによって、値段が3/1くらいになる。

これが、半貴石を原料にしたりする色だと、値段が高くなるのは当然だ。原料に自然物の割合が多ければ多いほど絵の具の値段は高くなる。
日本画を彩色する時に使う岩絵の具は、天然の鉱物を砕いて使っているものが多いので、日本画科に進むには経済的な覚悟が必要な程だ。

値段が安い絵の具は、だいたいにおいて劣化も早い。
ま、色によって劣化の度合いは変わっていくので一概には言えないのだが、その劣化を遅らせる重要な役割を果たすのがオイルだ。
同じ絵の中で、色によって劣化の度合いが変わる。
その度合いの違う劣化の速度を、同じくらいの速度に合わせる効果もあるのがテレピン油だ。

娘の描き方は、絵の具そのものをキャンバスに載せて描いていくスタイル。
オイルを混ぜずに、パレットに出して絵の具同士を混ぜ合わせて描いていく。
経年劣化を遅らせる作用のあるテレピン油を使わないので、劣化が早くくるのだ。
絵の具はそれぞれ劣化する時期が違う。
使っている原料が違うので、酸化したりする時期が違うのも当然だ。
テレピンはそれを上手につないでなおかつ、劣化の時期を少し遅らせてくれるそうだが、絵の具そのままだと劣化が如実に表れてしまうのだと言う。

娘が多用する絵の具の一つはシルバーホワイト。
オイルの代わりに使うかのように、他の絵の具をシルバーホワイトのベースに混ぜ合わせて色を作る。
シルバーホワイトは劣化が早いらしい。
劣化すると、絵の具が割れてきてしまう。
20~30年くらいで割れてしまう可能性があるのだ。
油絵は、保存状態が良ければ100年くらい持ったりするので、それに比べるとずっと劣化が早い。
特に下塗りにアクリル絵の具を使ったりした場合は余計酷い状態になる。
はがれ落ちてしまうらしい。

何度も言うが、絵の具は値段が品質に直結する。
顔料が多いものの方が発色が良く、つなぎにも良いものを使っている。
だからこそ、金額も高くなる。

今の描き方をするのなら、絵の具をもう少し良いものに変えていきなさいとK教授に言われたのだ。
おすすめされた絵の具は、クサカベの5倍くらいの値段だという。
とてもじゃないが気軽に変えられる値段ではないので、ちょっと頑張って松田に変えていくそうだ。
松田はクサカベよりも値段は今より少し高い、1.5倍くらい。発色が良く、劣化しにくいそうだ。
質のいい絵の具で、今までのより滑りがいい。
とても滑らかなので、絵の表面に筆の跡が残りにくい。
娘は、筆の跡が残って欲しいらしい。
そのためには『油抜き』という作業をする必要があるらしいが、ものぐさな娘がそれをするかな?

絵の具が変わると、慣れるのに時間がかかるらしい。
使う絵の具によって、絵の描き方が変わったりもする。
自分の好みに合った材料&描き方を早く見つけられるといいね。


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