120%と80%の違い

今回の実技授業はデザイン基礎。
娘の専攻は油画だが、ムサビ油画では必修授業のひとつだ。

多くの(普通科)大学では授業は前期と後期に分かれ、高校までと同じような時間割が組まれ(1コマは長いが)その期間ごとに成績がつくが、美大の実技は違う。
ムサビの実技は、コロナ禍の今年は2コマx毎日x3週間(例年4週間)で一つのターンが終わるのだ。
先週からはデザイン基礎のターンが始まった。
娘の専攻は油画であるが、デザイン基礎は油画科の必修のひとつだ。

油画の教授陣は、作品作成に120%の力で対峙しろと言う。
美大として、油画科の出口の一つは作家を作り出す事。
ヨーロッパ発祥の油画の特徴の一つは『革新』。
今まで誰も描かなかった対象や、構図や、素材や、表現方法等『誰かと同じものは作らない』が原則だ。
そのためには、毎回の作成対象に自分のその時の実力を出し切ることを求められる。
実は、作品作成のルールはそれだけともいえる。
なので、油画科の油画の授業では、必ずしも油絵の具とキャンバスを使って作品を作る必要はない。
日本画の材料である岩絵の具を使ってもいいし(扱いが大変なので使わないだろうと思うが^^;)水彩絵の具やアクリル絵の具、色鉛筆などでもいい。
というか、彩色道具と支持体(キャンバスや紙等描かれるもの)を使わなければならないわけでもなく、自分が表現方法として選びたいのなら、立体造形でもいい。(っていうか、音楽とか肉体表現とか文章を書くとかでもいい。)
自分の表現方法を探すのが目的なので、『試したい』なら『何をやってもいい』が原則なのだ。
しかも、初めての事にトライすることを推奨されているので、失敗も許される。
だからこそ、目一杯作品と向き合って作成することを求められる。

デザインの教授陣は、80%の力で作成しろと言う。逆を言えば目一杯頑張るなということだ。
デザイン科の一番大きな出口は就職。
就職先の企業にとって大事なのは、成果を上げること。
デザイン系にとっては『ある程度の質のものを期日までに仕上げる事』がとても大事らしい。
油画科のような「トライしましたが今回は失敗しました。」が許されない世界なのだ。
だからこそ就職したら、クライアントのために期日までに仕上げることがとても大事。
しかも、仕事が一つだけとかはなくて、いくつかの仕事を同時並行的に抱えているのが当たり前。
3日徹夜して体調を崩して4日目寝てしまって、期日までに仕上がらなかったら『どうして4日目徹夜しなかったの?』と言われてしまうような世界。
油画の教授なら、『パフォーマンスが下がるなら徹夜などするな』と怒られるところだ。
同じ美術専攻なのに、ファイン(油画や日本画、彫刻等)系とデザイン系では全然違う。

娘の高校は美術系だったので、普通科高校ではあったが美術系の授業が多かった。
高校受験直前で進路を変更し美術系の高校に進んだ娘は、絵を描くのは楽しかったようだが、小さい頃からお絵描き教室等で経験を積んできたクラスメイトに比べデッサン力や表現力が格段に低かった。
そんな中で成績が良かったのはデザイン系の授業だ。
成績が良いからという理由で、大学専攻はデザインかなぁと高校2年生冬の三者面談までは漠然と考えていた。
その時の経緯はこちら↓

殿さまの分析によりファイン系に進むことを決めた娘。
彫刻等の造形は体が小さいから不利。日本画は性質的に難しい。残った選択肢は油画のみ。
という消去法で油画の選考に決めた。
かなり消極的な理由で決めた油画専攻ではあったが、『ルールがほとんどない』油画の世界は娘にはとても合っているようだ。


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