ムサビ油絵科の講評

オンラインの実技指導。
穏やかに進んでいる。

油絵の具

高校から美術系クラスだった娘。
現役時代とも予備校時代とも違う『講評』を受けている。

オンラインの実技指導は、対面のそれと違って描いた絵をアップロードして行う。
対面の場合には、描いている最中にも相談や指導が受けられるが、オンラインはそれが難しい。
教室に行って好きなように描いていれば、先生が覗きにきてくれてアドバイスしてくれるわけではない。
自分で作成したものをひとつずつアップロードしていかなくては指導が受けられない。

使う画材はなんでもいいらしい。
自分の好みのものや、使ってみたいもの、使いやすいもので表現する。
必ずしも『絵を描く』でなくてもよいので、造形物や言語でも良いのだ。(油絵科だから、なんでもありなのかもしれないけど。)

講評も今までとは全然違う。
浪人時まで受けていた『形の狂い』や『明暗』等、デッサンや絵を描くための基礎力強化のような講評は一切なくなったそうだ。
「今まで描いていたのは、受験対策の絵だったんだ」
と娘はぽつりと言う。

娘の通った美術予備校での指導は(むろん基礎的なことはみっちり仕込まれたと思うが)、指導くださったM先生のおかげでだいぶ自由に描いているような気がしていた。
もちろん、子供の絵画教室のように『教室にさえいれば、なんでも好きにしていていいよ』とまではいかないが、『絵を描く』ということに向かう姿勢みたいな『どう描いたらもっと魅力的に見えるか』みたいなことは教えられたが、『こう描きなさい』みたいなものは一切なかったので、自由に描いているとばかり思っていた。

ところが、大学の講評は全く違うのだ。

『(絵の部分や全体像を)どう描いたらもっと良くなるか』など些末なことらしい。
自分の内面を掘り下げ、自分自身と向き合い、表現方法を模索する。
これから一生かけて探し続ける、『自分の作品』を作り上げるための手助けをしてくれるらしい。
『作品を作る』姿勢さえあれば、なんでもありなのだ。

指導してくださる先生方は、みな作家さんだ。
学生のことは『作家の卵』として扱ってくれているようだ。
作家の卵達が、先生がたのような作家に成長できるかはもちろんわからないが、そのための指導をしてくださる。

予備校の講評と大学の講評は全く違うのだ。


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