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『良い構図』を描くために絵を描いてはいけない

今回の油画実技は『構図のことをよく考えて描く』というゆるいしばりであったが、そのしばりにかなり囚われてしまっていた娘。
『良い構図』を描くために絵を描いていることに気づいたのは、授業期間3/2(2週間)を終えた時だった。

絵を描く、という行為と切っても切れない関係の『構図』。
単純に言えば、(油絵なら)キャンバスにどのように絵を描くか。ということだ。
キャンバス内に描く。という枠があることになる。
絵を描いている部分と、絵を描かれていない部分の境界線が枠。
そりゃあたりまえだろ。と言うなかれ。
キャンバスにどのように絵を描くか。これが結構難しいのだ。

娘は基本的に『日の丸構図』と言われる構図が好きらしい。

典型的な日の丸構図

ど真ん中に主役をドーンと置くコレが基本形。
当然、主役はカモメ。それ以外は背景。
なのだが、これをちょっとひねって。

主役を小さく、少し中央からずらす日の丸構図

主役をもっと小さくし、少しずらす日の丸構図。
このタイプが好きらしい。

油画だと、どこに多く描き込みをするかで『主役感』を出していく。
通常の日の丸構図だと、主役が9に対し、背景が1の割合が多い。
が、娘は主役2に対し、それ以外が1らしい。←『背景』ではなく『それ以外』
どうやら、主役を描きたいのではなく、『主役を含めた空間』を描きたいがためにそうなってしまうようだ。

初めて娘の絵を見た専門の先生方は、しばらく黙り込んでしまうことが多い。
皆が守っている『当たり前のルール』を守らずに描いているために、コメントする前にしばらく沈黙が続いてしまうのだ。
絵を描き始めた当初はまだ『拙い』せいだと思っていたのだが、大学に入ってからもそれは変わらない。
『当たり前のルール』を守っていないが、ただ単純に『拙い』わけではない作品を見ると、油画出身以外の先生方はコメントに窮するようだ。

大学に入ってから『描きたいように描く』よう努めてきたようだが、今回の課題では構図に囚われすぎていたことに気づいた娘。
修正して自分の描きたいように描く路線に戻したらしい。
結果、自分の好みのように描いたらしいが、油画以外の出身の今回の先生の講評はあまり振るわなかった。

ただ、今回の先生は娘が今まで気づいていなかった娘の構図のくせを指摘してくれた。
主役をかなり小さく、ちょっとずらして描く構図が好きだという点だ。
油画出身の先生たちに混じって、油画以外の出身の先生が実技授業を担当する理由は、色々な視点、観点から作品を評価し、同時に学生に刺激を与えるためであろう。

多くの先生方から学ぶことができるのが、大学に通う意味でもある。
もう明日から12月。
ここ最近のコロナ第3派は心配ではあるが、実技授業がこのまま大学で続くことを望んでいる。




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