藝術大学油画入試説明会参加報告

 昨日雨の中、娘が藝大入試説明会に参加してきました。

娘の通う美術予備校の先生は、『藝大を受ける人は説明会に参加するように』という方針。

1000人定員の会場には、美術予備校のクラスメイトがたくさん来ていたそうです。

娘の予備校の油画の同級生は約40人。

ほとんどが参加していたかも。

油画は説明会の定員1000人と多いので、余裕をもって予約できました。

(彫刻科は毎年争奪戦らしく、予約開始が5月27日の16時からだったのに、その日の夜には締め切ってしまっていたようです。)

この説明会は受験生でなくても参加可能。

なので、保護者や各予備校の先生方達も定員内なら予約できるのです。

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東京藝術大学美術学部油画2019入試説明会資料

私も行きたい気持ちはあったのですが、『大学受験に親が出るなんて』って考えちゃう古い人間なので^^;家で待っていました。

 

友人数名と参加した娘は、2年前に出かけた時より参加する意味があったようでした。

先生や学生達の説明する『藝大生の学生生活』に興味を持ったようです。

 

説明会で娘が気になったことを挙げていきます。

 

 

藝大油画もこれからは学科重視?

 今までの藝大油画は、センター入試は形だけで実技ばかりが重要視されていたのですが、どうやら学科をもっと重視することになったようです。

 

「センターを解ける能力は大事だよっ」て、説明会で言われたようです。

センターと実技の点数の割合について、具体的には話せないけれども、『総合的に丁寧に見ています。』との回答だとのこと。

センター入試の点数を重要視するんだなと、感じた娘。

前回参加した時にも、『英語とかの語学は、大学入試のためとかでなく、活動していく時には絶対的に大事』と小林正人教授がおっしゃってました。

ファイン系は、技術力だけでなく、発想力や個性などの『頭』ももちろんとても重要。

作家として活動するってことは、日本だけじゃなく世界にも通用させたいと考えているわけで、語学力とか絶対的に必要。

自然科学や人文科学などの幅広い知識があってこそ、技術や個性が生かせるので、当然っちゃ当然ですけどね。

 

でも、学科にもっと力を入れなきゃいけないとなると、一抹の不安が残ります。

 

去年から始まった面接について

二次の絵画の試験中に、面接があります。面接を課すことにした理由については

「これから多様なことが求められる時代で、実技だけでなく本人の顔を見て、声を聞いて入学を決めたい」との答えだったそうです。

失踪率が高いとうわさされる藝大油画

学内からそれじゃ困るって声が強くなったのかな?

娘が現役の時に通っていた予備校の先輩も、藝大に入学後、1年生の夏休みの後には大学に来なくなってしまったようです。

話を聞く限り、『掻き消えるように消えてしまった』そう。

彼の残した作品は予備校に今も残っています。

その参考作品だけが、彼がそこに通った証。

それじゃ悲しいよね。それじゃいけないってなったのかな?

  

1次素描の評価の対象となったのは、なにか。

 先回の一次、娘は残念ながら通過できませんでしたが、評価基準を聞いてきました。

 

  • 画面の切り取りがうまいもの。
  • 次の油彩でどのように進んでいくか興味が湧くもの。
  • 課題に対して真っ向から挑んだもの。
  • モチーフが物語(作品)の中で重要な役割を果たしているもの。

 930人あまりが受験して一次通過したのは200人ちょっと。

二次を通った54人の一次素描の作品が、参考作品としてパンフレットで紹介されています。

 

「去年から(大きさが)倍版になったことで、より作品的な受験になったので、いつもよりいい作品が多かった。」とのこと。

次も倍版なんだろうなぁ。って娘は感じたようです。

  

二次絵画は総合的な造形表現能力が求められている。

 二次は受験生の資質と作品の独創性を問うものです。

今回の出題内容は一次の素描と同じ内容で、とてもあいまいな出題でした。

 

出題内容は、枠内に下記の言葉が書かれていて、『枠内の言葉をテーマに書きなさい』とありました。

 

  • 世界に目を向ける。 (Looking at the world.)
  • 世界を見通す。        (Seeing through the world.)
  • 世界を映す。            (Reflecting the world.)

  構想力と構成力からなる想像力を評価するに加え、形態と色彩による総合的な造形表現能力を問われます。

スケッチブックも渡され、作品に仕上げるまでの考えの推移等を描いていきます。

 

渡されたスケッチブックも評価の対象となり、 

  • モノの見方と捉え方。
  • 油絵作品から読み取ることのできないプロセスとアイデアの流れ。
  • スケッチの仕方と対象の選び方(目の付け所)
  • アイデアの痕跡を見る。

 等をみるそうです。

 

藝大油画受験までにしておくと良いこと

 デッサンと油彩を使った絵画表現の勉強。

作品の鑑賞

知識と教養を深めること。

これらは、大学で求められる独自性が育つのに役立つ

 

と質問者に答えていたそうです。

 

自分の作品と向き合うのも大事だが、過去の評価されている作品や、絵画以外のことを知ったり、考えたりすることも自分の作品を作ることに大きな影響を与えるのだということですね。

 

藝大油画が求めている生徒像

 感性豊かで広い視野を持ち、意欲的でアーティストを志している学生

 

ファイン系の学生達の多くが目指す作家。

現役生の時にはあまり考えなかったようですが、今娘の周りにいる人は作家を目指す人ばかり。

よい刺激になるようです。

 

 

補足☆藝大油画の現役生対浪人生合格者の割合。

 合格者数100%に対して、現役合格割合32%、一浪が25%、二浪が21%、三浪以上が22%

受験者数100%に対して現役生42%、一浪25%、二浪13%、三浪20%

 

現役合格者が3割もいるのがオドロキ。

多浪が当たり前とされてきた藝大ですが、現役合格率がずいぶん上がっているのですね。

 

 

今回の説明会、以前聞いた時よりも、ずっと『タメになった』と娘は感じているようです。

先生や現役大学生、大学院生のお話が、納得のいくところが多々あったよう。

 

『もっと先生方の色々な話を聞いていみたい』と思えたことが一番の成果かもしれません。

 

 

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