次の課題はドローイング。って何?
ヌードモデルさんのクロッキーが終わった後の課題は、ドローイング5日間。
並べられたモチーフを、水彩絵の具をメインにしてあまり時間をかけずに描いていく。
手早くたくさん描くことを目標にしているらしい。
油絵具以外なら何でも使えるようで、ボールペンやクレヨンなども用意して出かけていった。
前回の人物クロッキーは素早く簡潔にありのままに描写することを求められたのに対し、今回のドローイングはモチーフはあるものの、描く人の内面的な描写を求められているように思う。
去年現役時代に描いたのは『あいうえお作文を元に描くドローイング』だった。
1文字から連想した単語を文章にしてちょっとひねって絵を描く、という課題だ。
娘が褒められたのは『う』という文字から『美しさ』を連想して、真ん中にぽつんと黒い点を描いたもの。
紙の白い地とシンプルな点のギャップが、先生のつぼにはまったらしい。
今回は静物モチーフを見ながら描くドローイングなので、そこまでの自由さはないが、クロッキーよりもずっと内面の描写が求められているはずだ。
紙のにじみについて研究するという課題もついている。
娘の希望する油絵は、キャンバス(布)を使い、油で溶いた絵の具で絵を描くのでにじみは発生しないのだが、どのようにそれを油絵に落とし込んでいくのだろう?
絵に対する基礎体力をつけていくようなものなのかな?
一人で絵を描いているだけでは発想しきれない課題を、予備校では出してくれる。
まだ受験まで間があることだし、今の時期にはゆっくりと自分の絵の可能性を探れということか。
水彩用の紙は種類が多く、水を含ませたり絵の具を置いたりした時に現れるにじみが違うらしい。
そのにじみを使って絵を描くことを求められているようだ。
にじみ加減からイメージを膨らませて絵を描かせるのだろう。
同じ紙でもにじみ方を変えるために、違う画材を使ってみたりするそうだ。
クレヨンを使ってわざと水をはじかせたり、塩や小麦粉などの食材を使ってもいいらしい。
「油絵だって、下地を塗って、塩をふりかけて、下地が少し乾いたところで塩を取ってザラザラ感を楽しむとかするんだよ。」
と娘は言う。
塩ならいいけど、小麦粉とかなんだか使って欲しくないなぁ。
絵に虫がわいてしまうのではないかと心配になってイヤだ。
「片栗粉でも面白いみたいだよ。絵の具に混ぜて下地として使ってもいいんだって。」
いやいや。
日本ではあんまり向かないんじゃないの?
この梅雨の時期にそんな話はやめてくれと、思わず耳を塞ぐ母であった。