東大王の美術クイズ、ミレーのオフィーリアだった
つい見てしまうテレビ番組
TBSの東大王シリーズ
娘が水上颯クンのファンで、つい毎回見てしまう。
爽やかなのにニヒルな微笑みが好みなようだ。
美術好きな娘の好きなクイズはもちろん美術系。
特に絵画問題が大好きだ。
今日も画面に一部が映った瞬間に「オフィーリアだよっ!」と騒いでいた。
あ。0時を回ってしまったので、昨夜だったか。
オフィーリアは、シェークスピアの四大悲劇のひとつ『ハムレット』の主要登場人物だ。
主人公ハムレット王子の妃候補のひとりだったが、愛しいハムレットに『尼寺へ行け』と言われたその人である。
父をハムレットに殺され、狂気に陥ったオフィーリアは川辺のヤナギの木に登り、小川に落ちて溺死する。
ざくっとまとめると酷い扱いだ。
オフィーリアは美術作品の主題となることが多く、多くの画家が好んで描いている。
ミレーの作品のモデルは有名なエリザベス・ジダル。
多くの画家に多大なインスピレーションを与えたと言われる女性だ。
ミレーはこの絵を描くために、バスタブに水をはり、服を着た状態でジダルを何時間も横たわらせていたという。冬だったためにモデルはひどい風邪をひいてしまい、彼女の父親は治療費をミレーに請求したといういわくつきの作品だ。
ミレーのオフィーリアは、自然の生態系を精緻に描写したとして知られている。
戯曲ハムレットはデンマークが舞台の作品であるが、この絵に描かれているのはイングランドの動植物だ。
作品の中にちりばめられたたくさんの植物はそれぞれに象徴的な意味が込められている。死や純潔、悲しみや苦悩、愛など、悲劇のヒロインにふさわしい花言葉で画面を彩る。
生と死のはざまで流れゆくオフィーリア。
半ば閉じられた瞳と歌うかのように開かれた唇、何かを受け入れるかのように水面に浮かぶ両の手があまりにも痛々しい。
リアルに描かれたオフィーリアの死の場面だが、実際の戯曲中にオフィーリアの死のシーンはない。
王妃ガートルートによって語られるのみなのだ。
それだからこそ余計に、芸術家たちの感性を刺激するのかもしれない。