深夜の攻防☆受験直前!必要なものとそうでないもの。

「欲しい絵の具があるの」
ほら。またきた。
心の中で思わず顔をしかめてしまう。

ここ頻繁言われているセリフ
もう使っちゃったの?
と言いたい気持ちをぐっとこらえる。

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小学生の美術なら絵の具12本セットとかいって基本的な色がそろっていて、混ぜることで色のバリエーションを増やせるあれ。

絵の具たくさんもってるじゃん。混ぜればいいじゃん。と以前言ったらコワイ顔で反論された。

「油絵の具は混ぜると色が鈍くなるの。灰色っぽくなっちゃうの。確かに混ぜて同じ系統の色を作ることはできるけど、発色がいい色は混ぜても作れないの。」
えー。でも。。と絵を描かない私は反論してみた。
なんで発色が良くないといけないの?鈍い色じゃダメなの?

すると、もっとコワイ顔でせまってきたのだ。
「発色がいい色っていうのはね。ちょこっとしか使わなくっても強い印象を与えられるの。遠目で見た時に描いた絵を魅力的に見せてくれるの。あれ、何かな。ちょっと気になるなって思わせてくれるの。」

じゃぁ。しょうがないなぁ。安いのにしてね。
仕方なくしぶしぶと頷く私に娘は畳みかけてこう言ったのだ。

「わかってないなあ。絵の具は顔料でできてるの知ってる?顔料っていうのは石なの。宝石なの。それをつぶして絵の具にしているの。発色がいい絵の具っていうのは、含まれている顔料が多い絵の具のことなの。つまり、つぶした宝石がたくさん入っているから綺麗にみえるのね。つぶした宝石がたくさん入っている絵の具の方が高いに決まってるの。顔料の少ない鈍い色の絵の具を買うなら、わざわざ買う必要ないでしょ。」

ごめんなさい。悪かったです。今回はこのくらいの範囲内で絵の具を買ってください。と言ってお金を渡した経験があるのだ。

娘を美術の方向に行かせる、と決めた時に覚悟はしていたつもりなのだが、やはり家計にひっ迫する。美術をやるのはお金が結構かかるのだ。
絵を描くのだから当たり前なのだが、描けば描くだけ絵の具を消耗する。

美術予備校で毎日何時間も描いているんだから、当然っちゃ当然なんだけど…。
お財布にあとどれくらいあったっけ?と考えながら何が必要なのか聞き返す。

「クラシコ買いたいんだー」

クラシコってクラッシックって意味?どんな色なの?
「ちがうー。種類の名前ー。何本かほしいのー。」
あーー。いくつ買うの?
「20本くらい?」
あーーーーー。ため息が出そうになるのをこらえつつ、このくらいかなーー。と二万円渡そうとする。

「筆も欲しいのーー。24号のやつー。」
どうでもいいけど、その間延びした話し方イライラしてきた。
いけない。いけない。相手は受験生だ。
気持ちを抑えながら聞き返す。いくらくらいするの?

「1万7千円くらい?」
「えぇ?!」

つい声を荒げてしまう。

筆は絵を描く者にとって必需品だ。
そんなことわかってるんだけど、それってかなりいいお値段。
恐ろしいことに筆は消耗品でもあるので、良いものを買えば一生使える。とかいうシロモノではない。必ず、また買わなければならない時がやってくるのだ。

おもわず言ってしまう。
「何でそんなに高いの?」
「セーブルがいいの。」

筆は天然の毛を使うものが値段が高い。セーブルってイタチの毛だったっけ?柔らかくて描きやすいんだって前言ってたっけ。

道具は値段に比例して使いやすいのだと娘は言う。
24号はかなり太い筆で、背景をざっと塗るのに使いたいらしい。
今はその半分くらいの筆で塗っているので、時間がかかってしまうとのこと。

「短時間で仕上げなきゃいけないから、時間短縮につながるの。」
むぅ。
娘の第一志望である武蔵野美術大学の油絵専攻では、652mmx530mmのキャンバスを6時間で仕上げることが課せられる。
もっと描きこみなさいという講評を毎回もらっている娘には、時間短縮は切実な課題だ。

「あ。でも、もしかしたら、ハケでもできるかも。」
なんだ。ハケでいいならそうしなさい。
うん。ぜひともそうして欲しい。

心の声は内に秘めつつ、確認してみる。
持っているの?
「豚毛でいいから買いたい。」
豚毛ならそんなに高くないならいいか。

絵の具や絵筆、良い道具を買ったからといって絵が上手になるとは限らないが、絵を描きたい!と気分をアゲルには効果的。

気持ちをあげて、一枚一枚、丁寧にしっかり手を入れて仕上げてほしい。

母の切実な願いである。

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